リンパ浮腫ケア研修/乳がんケア

 リンパ浮腫は、癌に対し手術や放射線治療が施行された際に、リンパ流が遮断されることによって発生します。リンパ浮腫に対する治療は主に保存的な方法が行われますが、浮腫が一旦顕著となると改善させるのに難渋します。したがって、早期よりリンパ浮腫ケアを行うことが肝要であり、2008年からはリンパ浮腫指導管理料が保険適応となっています。術後早期から患者教育を行い、浮腫の予防や自分でできるリンパマッサージを指導します。退院後は、外来でリンパ浮腫の発生をモニタリングし、程度に応じた治療的介入が効果的に行えるように、早期発見に努めます。

 乳癌の手術においては腋窩のリンパ節に対し、術前評価で明らかな転移が認められる場合には、腋窩リンパ節郭清を行います。一方、明らかな転移が認められない場合には、センチネルリンパ節生検を行なって転移の有無を確認し、リンパ節転移が認められた場合にのみ、腋窩リンパ節郭清を行います。こうした侵襲が腋窩に加わることにより上肢からのリンパ流が断たれ、程度の差は様々ですがリンパ浮腫を生じることになります。センチネルリンパ節生検の導入により、腋窩リンパ節郭清を行う頻度が減少し、上肢リンパ浮腫の発生率は以前に比べて低下しました。しかしながら、術後に上記ケアを要する患者は一定の割合で常に存在するのが現状です。

 リンパ浮腫ケアに関する教育として、医師、看護師(病棟、外来、腫瘍センター等)、リハビリ療法士など多職種合同勉強会の定期的な開催などにより、知識と情報の共有を図る必要があります。その上で、入院中から退院後、外来通院を通して、統一されたツールを用い一貫した患者指導を行うこと、さらに患者の症状のモニタリングとグレードの評価、他の要因による浮腫との鑑別ができることが求められます。そして介入が必要な際は、リハビリテーション部やリンパ浮腫外来等と連携をとって治療を提供します。

 リンパ浮腫の治療法には、スキンケア、リンパドレナージ、圧迫療法、運動療法、及び圧迫と運動を組み合わせた複合療法が推奨されています。リンパドレナージは専門的な医療技術であり、医師の指示のもとに行われます。圧迫療法の際に用いられる弾性着衣についての適応と選択、適切な運動療法の指導について、知識と実践を行います。

 癌の再発や進行に伴い出現するリンパ浮腫は、原因となっている癌治療が優先されるため、治療内容に関して担当医との密接な連携が必要となります。また、終末期のリンパ浮腫への対応は緩和ケアの一環としてチームでの対応を考えることになります。

 本研修は、癌やその治療に伴うリンパ浮腫に関する知識を習得するばかりでなく、施設内でチームを形成し、実践的に導入できることを目標とします。


がんサポーティブケア協同企画講演会開催
「第2回がんのリハビリテーション講演会」
「第1回乳がんのサポーティブケア研修会」
■日時
2014年10月24日(金)18時〜20時
■場所
聖マリアンナ医科大学病院本会3階大講堂
■対象者
がん診療に携わる医療従事者の方々
■プログラム
講演会1「がんリハビリテーション最前線ー周手術期から緩和ケア主体の時期まで―」
講師辻哲也先生(慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学准教授)
講演会2「乳がんと運動」講師広瀬真奈美先生(一般社団法人キャンサーフットネス代表理事)